関西支部兼関西ASW協会 4月度例会報告

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4月度の月例会は、依存症治療拠点機関設置運営事業(以後、運営事業)について、大阪府立精神医療センターの倉橋桃子氏、鶴幸一郎氏よりご報告を頂いた。参加者は20名であった。

まず運営事業が始まった経緯についての説明がなされた。平成25年国会に提出、可決された刑法「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律」の一部改正により、再び罪を犯すことを防ぐため、刑事施設における処遇に引き続き社会内における処遇(治療)を実施することが盛り込まれた。「それでは薬物依存症治療をどちらの医療機関で受ける形とするのか?」との意見から、国において平成24年11月から依存症者に対する具体的な治療についての検討会が発足。全国拠点機関として、アルコール、ギャンブルは久里浜医療センター、薬物は国立精神・神経センターに設置、都道府県では、神奈川県立精神医療センター、各務原病院、岡山県立精神医療センター、肥前療養所、大阪府立精神医療センターの5ヵ所が選定された。更に、平成26年6月にアルコール健康障害対策基本法が制定された背景も大きい。
運営事業は、「依存症に関する専門的な相談支援、関係機関や依存症者家族との連携や調整などを試行的に実施し知見を集積。集積した知見の評価及び検討を行うことで、依存症治療プログラムや回復支援体制モデルの確立」を目的としている。運営事業の役割としては、①依存症対策推進協議会の設置、②依存症治療拠点事業の業務、③依存症治療支援コーディネーターの配置、④全国拠点機関との連携が挙げられている。①推進協議会は、治療を専門的に行っている精神科医、行政機関、自助グループ、当事者及び家族で構成。平成26年度に2回実施され、計画策定、提言などを行っている。②業務としては、当事者や家族への相談支援、関係機関との連携・調整や推進協議会の運営などがある。大阪府立精神医療センター(以後、府立精神医療センター)では、平成26年10月~27年3月の期間での相談件数は計48名、薬物40名、アルコール3名、ギャンブル5名となっており、相談内容としては「受診したいんだけれども、どうしたら?」と言った受診を前提とした具体的な相談が多いとのことで、アルコール依存症は否認などの気持ちから受診には消極的な人が多いイメージがあった為、大変印象に残った。府立精神医療センターでの依存症相談窓口は、平日9時~17時、精神保健福祉士2名体制で実施されており、既にアルコール・薬物依存に関しては体制が整っている中で、昨年10月からギャンブル依存症窓口を新設。入院治療体制としては、急性期救急病棟にて受け入れ、薬物の方は、解毒後に認知行動療法プログラム(通称ぼちぼち)を週2回実施、アルコールの方は解毒後、多職種による個別治療プログラムが実施されているが、相談の時点でアルコール専門医療機関受診を勧めておられるとのことだった。外来は、この4月半ばより基本的に予約なしでの初診受け入れをされており、薬物は「外来ぼちぼち」を週1回実施、アルコールは入院と同様、専門医療へ繋げ、ギャンブルは精神疾患の有無を診察で確認、必要に応じコーディネーターと面接、社会資源については医療福祉相談で、との事だった。
大阪府においては、薬物問題が顕在化しているあいりん地区を中心とした環境整備の5か年計画と、運営事業とが協働体制をとり、薬物依存症者等ケア強化事業の取り組みを通して、当事者・家族支援の為の専門プログラムの実施機関の増加、関係機関職員の支援力向上、支援ネットワーク構築を実施し、府全体のケア水準を向上し、治療、支援モデルの発信を行っていきたいとのお話しだった。
平成27年度の計画案としては、前述の通り既にスタートされている取り組みもあるが、更に今後2年間のエビデンスの集積を行い、関係機関や現場と共有し合って行くことと、関係機関との連携をより有機的なものとする為のインテークシートの作成を考えておられるとご説明頂いた。出席者からの各機関における現状についての報告も大変有意義であった。
運営事業について分かりやすく詳細に説明頂けたことも大変勉強になったが、お話の中で「ハード面を整えることも大切だが、細やかに繋いでいく事を重視していきたい」との言葉を何度かお聞きし、この言葉が持つ意味を日々の業務においても忘れてはいけないと、改めて感じさせて頂けたことを感謝している。

文責:ひがし布施クリニック 平田

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