一般社団法人日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会は、昨今議論が進んでいます「大麻使用罪の創設」について反対を表明します。
- 現在の薬物対策は世界的にも「懲罰から人権に基づく公衆衛生アプローチ」に転換しています。我が国では違法薬物に対し刑罰を科していくという対策が取られてきましたが、厳罰化が必ずしも抑止力にならないことは再犯率の高さからも明らかと言えます。
- 犯罪化することは使用への抑止力にならないだけでなく、使用者への「犯罪者」としてのスティグマを生み出します。そのことが社会的孤立へとつながり、社会の周縁に追いやられる可能性が高まることを懸念しています。
- 薬物使用者にとって必要なものは懲罰ではなく「回復のための支援」です。そのために相談、治療、生活支援、回復支援の体制の拡充を目指していくことが求められます。
- なお、今回の表明は大麻の合法化を求めるものではありません。薬物としての大麻の害について、さらには大麻に限らず様々な薬物とその依存の問題について、正しい知識の普及を目指し、薬物問題で相談したくてもできない当事者や家族が安心して相談できる体制や環境の整備、支援にかかわる実践力を身につけていく取り組みを、ソーシャルワークの団体として取り組んでいきます。
2021年6月14日
一般社団法人日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会
会長 岡崎 直人