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声明「喫煙・飲酒の年齢制限緩和に強く反対します」

喫煙・飲酒の年齢制限緩和に強く反対します

~自民党・成年年齢に関する特命委員会方針に対して~

日本禁煙学会理事長  作田 学
〒162−0063 東京都新宿区市谷薬王寺町30−5−201            
E-mail desk@nosmoke55.jp

 自民党の成年年齢に関する特命委員会が、「飲酒・喫煙の解禁年齢も現行の「20歳」から「18歳」に引き下げるよう政府に求める方針を固めた」との報道がありました。(産経新聞2015年9月1日http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150901-00000088-san-pol)。
 日本禁煙学会は、自民党の成年年齢に関する特命委員会の方針に強く反対し、このような政策実施方針の速やかな撤回を要請します。

 その理由および提言を以下に述べます。

      1. 喫煙・飲酒には止めようとしても容易に止められない強力な「依存性」があります。
      2. これらの行為を始める年齢が若いほど、依存が強く形成されます (図1参照)。
      3. 日本人の健康を害する最大要因とされている喫煙について、現在より規制を強化することはあっても、けっして緩和すべきではありません(図2参照)。
      4. 喫煙は多くの疾患の原因になることが判明しており、青壮年死亡を増加させます。また、国の財政面で考えた場合にもマイナスなのです(図3参照)。
      5. 以上の理由から、喫煙や飲酒開始年齢を遅らせるために様々な法律的対策が講じられてきました。たとえば、わが国では、「未成年者喫煙禁止法」が若年者の喫煙開始を防ぐ上で大きな役割を果たしてきました。
      6. 18才で選挙権が付与されるのだから喫煙や飲酒を行うかどうかは成人としての自己の判断に任すべきだ、とする自民党特命委員会の主張は、一見「選択の自由」を尊重しているように見えますが、これは、これらの行為に強力な依存性があることを無視しています。
      7. 米国医学研究所によれば、解禁年齢を21歳に引き上げるとタバコ関連の早死が25万人減るとしています(補足追加参照)。
      8. 以上より、現行の喫煙・飲酒の年齢制限の維持は言うまでもなく、さらに、より高年齢に改正すべきであると考えます。                以上

2015年9月3日

【図1】

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【図2】

02

【図3】

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【補足追加】

たばこ購入年齢引き上げを提案=米国医学研究所(2015年3月13日) http://jp.wsj.com/articles/SB10030317691824024149004580515103762666876

 「米国医学研究所(IOM)は、たばこを購入できる年齢を18歳以上から21歳以上に引き上げることを支持する報告書をまとめた。その理由として、早死にや低体重の赤ちゃんを減らし、15~17歳で喫煙を開始する人を大幅に減らせることを挙げた。これは、議会が食品医薬品局(FDA)に調査を求め、FDAがIOMに委託した研究の結論だ。 …報告書は、年齢を21歳以上にすれば18~20歳の年齢層に大きな影響を与えるとの結論を出した。 …ニューヨークやエバンストン(イリノイ州)、コロンビア(ミズーリ州)、マサチューセッツ州の約50都市などでは、最近最低年齢が21歳に引き上げられた。しかし、大半の州では18歳で、4州が19歳となっている。 IOMの報告書によれば、最低年齢を21歳に引き上げれば、喫煙者数は12%減少し、2000-19年生まれの人たちのたばこ関連の早死には24万9000人減少すると推定されている。また、早産児が約28万6000人、低出生体重児が43万8000人減少すると見込まれている。」

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