日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会は、生活保護基準の引き下げの動きに対し下記の緊急声明を発しました。
また当協会は、全国の会員や仲間の皆さんに、生存権侵害を許さないため「生活保護問題対策全国会議」や「いのちのとりで裁判全国アクション」などの取り組みへの合流を呼びかけるものです。
「生活保護制度の充実を求める緊急署名」にご協力ください。
http://inochinotoride.org/whatsnew/171019shomei.php
【緊急声明】
生活保護基準額の引下げは断じて認められません
2017年12月13日
日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会
12月8日、社会保障審議会生活保護基準部会に、生活扶助基準の検証結果案と有子世帯に対する扶助・加算に関する検証結果案が、これまでの部会の経過を無視して唐突に提出されました。報道によると、厚労省はこれにもとづき、生活扶助基準額を最大1割引き下げ、加算も引き下げる方針だとのことです。大都市部では、中学生と小学生の子ども2人を持つ40代夫婦は支給額(各種加算を含む)が月約21万9千円から約19万4千円に11%減り、65歳の高齢単身者も月約8万円から約7万3千円と8%のマイナスとなります。また、母子加算は子ども1人の場合、現在の平均月2万1千円から1万7千円に下がります。子ども、特に中学生がいる世帯での引き下げが大きくなっています。
また、部会で配布された資料によると,単身高齢(75歳)世帯(都市部)で7万4630円から6万8840円へと5790円(7.8%),高齢(65歳)夫婦世帯(都市部)で11万9200円から10万6020円へと1万3180円(11.1%)の削減がされる可能性があります。
この生活保護基準額の引下げは、生活保護を利用しているひとり親世帯や高齢者の生活困難や子どもたちの厳しい現実から目をそらし、さらに悪化させるものです。私たち、依存症にかかわるソーシャルワーカーが日々、目の当たりにしている現実は、本当に厳しいものです。依存症からの回復に取り組むひとり親や子どもたち、高齢者の暮らしを守らなければなりません。
老齢加算の廃止や2013年からの最大10%の引下げに続き、さらに最大1割の引下げや母子加算の減額が行われれば、際限なく生活保護基準額が低下していくことは必至であり、健康で文化的な生活はおろか、生存さえも保障されないという深刻な事態を招きかねません。また生活保護基準額の引下げによって、最後のセーフティネットである生活保護が、その門を狭めて、ますます利用しづらくなることは確実です。
私たち、日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会とその会員は、大きな驚きと怒りをもって、今回の生活扶助基準の引き下げに反対するものです。
以上